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先々週の面会室
母に会いに行くのは、月に2回と決めている。神奈川の介護付き有料老人ホームまで、埼玉から電車で1時間半。それが苦になったことは一度もなかった。
先々週の日曜、面会室に入ると、79歳の母は窓側の椅子に座っていた。半袖のカーディガンの袖から、左腕に紫色のアザが見えた。
「お母さん、それ……」
「転んだのよ。たいしたことない」
同じ言葉を聞いたのは、これで3回目だった。1回目は左手首、2回目は背中の下。今回は左腕の内側。「転倒」にしては、場所のバリエーションが多すぎる。
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施設長の10分間
その日の帰り、フロントで施設長を呼んだ。60代くらいの女性で、名刺には「介護福祉士」の資格が並んでいた。
「うちの職員は全員ベテランで、研修も定期的にやっています。虐待なんて、絶対にありえません」
その「絶対にありえない」が、10分間、形を変えながら繰り返された。最初は穏やかに、途中から少し早口になって、最後は「お母様が夜中に一人で歩かれることがありまして……」という話に変わっていた。
私は頷きながら、録音アプリを起動したスマホをポケットの中で握っていた。でも、それだけじゃ足りないことはわかっていた。施設長の弁明を崩すには、言葉ではなく映像が要る。そう直感した。
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「証拠がないと動けない」という壁
翌週、地元の警察署に相談した。高齢者虐待の相談窓口があると聞いていたから。
「アザがあっても、転倒によるものか外力によるものかは、医師の診断がないと判断が難しいんです。それに、同じ部屋の他の入所者の方もいらっしゃいますし……映像とか、そういう客観的な証拠があると動きやすいんですが」
つまり「証拠がないと動けない」ということだった。
市の介護保険課も同じだった。「施設側にヒアリングをします」と言われた。施設にヒアリングをして、何の意味があるのか。施設長がもう一度「絶対にありえません」と言うだけだ。
結局、自分で動くしかなかった。「証拠を持ってこい」と言うなら、証拠を作るしかない。
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4K画質にこだわった理由
カメラを選ぶ前に、何が「証拠」として機能するかを考えた。
薄暗い居室の中で、職員が腕をつかむ瞬間。その職員の顔、名札の名前、時刻。これが映っていなければ「転倒の可能性」で片付けられる。
解像度が低ければ、顔は潰れる。名札の文字は読めない。「これでは特定できない」と言われておしまいだ。
だから4Kにこだわった。動画として証拠提出するなら、1080Pでも受け付ける機関は多い。でも、実際に相手を特定できるかどうかは別の話だ。静止画に切り出したとき、名札が読める解像度が必要だった。薄暗い居室でも輪郭がはっきり映る赤外線暗視も、絶対に外せない条件だった。
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GX-105を選んだ夜
ネットで3日間調べ続けて、最終的にGX-105に決めた。
決め手は3つ。4K画質、赤外線暗視、そして180日待機。
母の居室は夕方以降、照明を落とす。夜間帯に何かあっても映っていなければ意味がない。赤外線LEDによる暗所撮影は、この状況には必須だった。
そして180日待機というのが、想定外に重要だった。頻繁に訪問してバッテリーを交換していたら、施設側に「何か持ち込んでいる」と思われる。月2回の面会リズムを崩さずにメンテナンスできるのは、長時間待機型だけだ。¥89,800という価格は安くないが、「証拠を取って施設を動かす」という目的のために払う金額として、十分に合理的だと判断した。
実際に2週間使った映像は、細部が驚くほど鮮明だった。暗所でも輪郭がはっきりして、名札の文字が静止画に切り出しても読める水準だった。これが証拠になる、と確信した。
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居室に溶け込ませる工夫
問題は設置場所だった。
居室には、ベッドとテレビ台と小さな棚がある。棚の上に荷物を置くのは自然だが、明らかに「カメラっぽいもの」を置けば気づかれる可能性がある。施設スタッフは毎日居室に入る。清掃も介護ケアも全て室内で行われる。
そこで観葉植物型のCK-016Bも一緒に注文した。見た目は普通の小型フェイクグリーンで、内部にカメラが入っている。1080P画質でスマホからリアルタイム確認ができ、32GB内蔵。¥24,800という価格で、外からスマホを開けば今この瞬間の居室の様子が確認できる。
実際に棚の上に置いたとき、母が「いい植物ね、誰かにもらったの?」と言った。施設のスタッフも何も言わなかった。インテリアとして完全に機能した。
GX-105をメインの長時間録画に使い、CK-016Bをリアルタイム監視の補助に使う。この二段構えで、居室全体をカバーできた。面会できない夜間でも、スマホ一つで状況確認できるのは精神的にも大きかった。
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予算を抑えたい方への選択肢
同じ状況の知人から相談を受けたとき、「GX-105に9万円近くは厳しい」という話が出た。
そういう場合には、ティッシュ箱型のCK-017Bを勧めている。¥19,800で、1080P・動体検知・WiFi対応。居室のベッドサイドにティッシュ箱は必ず置いてある。誰も疑わない。最もシンプルな偽装だからこそ、最も自然に見える。
動体検知機能があるので、人が動いた瞬間だけ録画が始まる。ストレージの消費を抑えながら、必要な場面を確実に記録する。予算の制約があるなら、まずCK-017Bから始めるのは十分に合理的な選択だ。証拠として使える水準の映像が取れる。
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頻繁に面会できる方へ
週1〜2回、頻繁に面会できる環境の人には、モバイルバッテリー型のCK-MB01も選択肢に入る。¥15,800と最も安価で、見た目は普通の充電器だ。机の上に置いていても完全に自然で、実際にスマホの充電もできる。「充電しながら面会している」という状況が作れる。
バッテリー容量の関係で連続録画時間は限られるが、面会のたびに持ち込んで録画・持ち帰るスタイルなら問題ない。外形が変わらないため、毎回持ち込んでも「いつものバッテリー」として通り続ける。コストを最小限に抑えて証拠収集を始めたい方に向いている。
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映像が示したもの
GX-105を設置してから2週間後、最初の映像を確認した。
夜間帯に、男性職員が母を起こす場面が2回録れていた。1回目は通常の介護対応に見えた。2回目、母が起き上がれずにいるとき、職員が腕を引っ張る動作をした。乱暴とまでは断言できない。でも、必要以上の力だった。名札の名前が読めた。時刻が映っていた。
その映像を持って、再度施設長に話した。スマホで再生しながら、「この職員の動作について確認させてください」と言った。施設長の顔色が変わった。「確認します」という言葉は、今度は10分間繰り返されなかった。
現在、担当職員の配置が変更されている。アザは出ていない。
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次の面会までに動くべき理由
施設の弁明を崩すには、言葉ではなく映像しかない。それが現実だ。警察も市も「証拠があれば動く」と言う。証拠を作るのは自分しかいない。
4K画質で暗所でも鮮明に撮れて、180日間無交換で待機できるGX-105は、月2回の面会しかできない状況に最も合っている。¥24,800のCK-016Bを補助に置けば、遠隔からリアルタイム確認もできる。
「まだアザが出ていないから」と思う方へ——私も最初の1回目でそう思った。3回目になってからでは、「なぜもっと早く動かなかったのか」という後悔しか残らない。
次の面会日は、いつか。その日が来る前に、確認する価値がある。
※撮影は関連法令を遵守の上、ご利用ください。登場人物・団体は全て架空です。


