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【警察官が語る】女湯侵入・盗撮事件の捜査から逮捕まで

目次

【警察官が語る】女湯侵入・盗撮事件の捜査から逮捕まで

はじめに

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兵庫県警刑事部捜査第一課、性犯罪捜査班に所属する私が、実際に担当した女湯侵入・盗撮事件について、捜査の実態をお伝えします。この記事を読んでいただくのは、犯罪の抑止という明確な目的があります。「バレないだろう」「証拠がなければ大丈夫」そう考えている人がいるなら、その考えは完全に間違っています。現代の捜査技術において、性犯罪者が逃げ切れる可能性はほぼゼロです。

私は警察官として22年のキャリアを持ち、このような事件を数十件担当してきました。毎回感じるのは、被害者の心の傷の深さと、加害者の認識の甘さです。今回紹介する事例は、その典型的なケースでした。

第一章:事件の通報と初動捜査

# 通報の瞬間

2023年8月15日、午後8時47分。兵庫県神戸市内の温泉施設「○○の湯」から110番通報が入りました。

「女湯に不審な男が侵入しています!今、従業員が取り押さえています!」

通報者は施設の女性マネージャー。声は震えていましたが、状況を的確に説明してくれました。通報から2分後、私たち捜査班に無線連絡が入り、すぐさま現場へ向かいました。お盆の時期で施設は混雑しており、重大事態になる可能性が高いと判断したのです。

現場到着は通報から9分後。すでに制服警察官が先着しており、犯人とされる男性を確保していました。

# 現場の状況

到着時、施設のロビーは騒然としていました。浴衣姿の宿泊客が不安そうに見守る中、床に座らされた男性がいました。年齢は30代半ば、Tシャツにジーンズという普通の格好。一見するとどこにでもいる一般人でした。

しかし、その手元には防水ケースに入ったスマートフォンがありました。これが事件の重要な証拠となります。

施設の従業員から事情を聞くと、以下のような経緯でした。

女性客から「脱衣所に男性がいる」との通報を受けた女性従業員が確認に向かったところ、確かに男が女湯エリアにいた。従業員が声をかけると、男は逃げようとしたが、たまたま休憩中だった男性従業員2名が駆けつけ、出口で取り押さえた。その際、男のポケットから防水ケース入りのスマートフォンが落ちた。

# 初期対応の重要性

この段階で私たちが最優先したのは、以下の3点でした。

**1. 被害者の保護と確認**

女湯エリアにいた女性客全員が被害者となる可能性がありました。施設側の協力を得て、別室に待機してもらい、一人ずつ事情聴取を行う体制を整えました。この日、女湯には12名の女性がいました。年齢は7歳から68歳まで。全員が恐怖を感じたと証言しました。

**2. 証拠の確保**

スマートフォンは犯行の証拠になる可能性が極めて高い。その場で男に「これはあなたのものか」と確認したところ、黙秘。しかし、防水ケースには指紋が明瞭に残っていました。また、施設の防犯カメラ映像の保全も直ちに指示しました。

**3. 犯人の身柄確保と権利告知**

男を建造物侵入の現行犯として逮捕。憲法で保障された権利(黙秘権、弁護人選任権など)を告知し、神戸中央警察署へ連行しました。

# 現場検証

翌日、施設の営業開始前に現場検証を実施しました。

女湯への侵入経路を特定するため、施設内を詳細に調査。防犯カメラの映像を時系列で確認したところ、犯人の動きが明らかになりました。

**犯行の時系列:**

– 19:45 男が施設に入館(一般客として受付)
– 19:52 男湯に入る
– 20:15 男湯から出る
– 20:18 館内をうろつく様子(カメラに複数回映る)
– 20:25 人気のない廊下で周囲を確認
– 20:27 女湯エリアへ続く扉を開ける
– 20:28 女湯脱衣所に侵入
– 20:31 浴室内に侵入
– 20:33 女性客が気づき悲鳴
– 20:34 従業員到着、犯人逃走
– 20:35 出口付近で確保

浴室内には複数の女性がいました。犯人は湯船近くまで接近していたことが、目撃証言と足跡から判明しました。

第二章:取り調べの開始

# 最初の取り調べ

逮捕翌日の朝9時、本格的な取り調べを開始しました。

取調室は約3メートル四方の個室。机を挟んで向かい合う形で座ります。私の隣には若手刑事が記録係として同席。録音・録画装置も作動させます。性犯罪の取り調べは、後の裁判で供述の任意性が争われることが多いため、すべてを記録に残すのです。

「改めて聞きます。なぜ女湯に入ったのですか」

最初、男は完全に黙秘していました。これは想定内です。多くの性犯罪者は、当初は罪を認めません。しかし、私たちには確実な証拠がありました。

# 証拠の提示

「防犯カメラにあなたが女湯エリアに入る様子が映っています」

映像を見せると、男の表情が変わりました。

「これは…間違えただけです」

よくある弁解です。しかし、映像は明確に反論していました。

「映像を見てください。あなたは女湯入口の前で、2分以上周囲を確認していますね。『女湯』という表示も大きく出ています。間違えたにしては、不自然な行動です」

「それに、男湯から出た後、20分近く館内をうろついている。その間、何度も女湯エリアの方を見ていますね」

男は言葉に詰まりました。

# 心理的アプローチ

取り調べは心理戦でもあります。ただ追及するだけでは、黙秘を続けられることもある。そこで、私はアプローチを変えました。

「あなたにも家族がいるでしょう。母親、姉妹、もしかしたら娘さんもいるかもしれない。もし彼女たちが入浴中に見知らぬ男に侵入されたら、どう思いますか」

男の目に涙が浮かびました。

「被害者の女性たちは、恐怖で震えていました。7歳の女の子もいたんです。その子は今でも一人でお風呂に入れなくなっている。あなたのしたことの重さを理解していますか」

長い沈黙の後、男は崩れるように話し始めました。

# 自白の始まり

「すみませんでした…出来心だったんです」

「出来心?詳しく説明してください」

「その日、仕事でストレスが溜まっていて…温泉に来たんです。でも、男湯に入っても気分が晴れなくて…魔が差したんです」

「魔が差した、というのは具体的にどういうことですか」

「女湯を見てみたい、という気持ちが抑えられなくなって…」

「スマートフォンは何のために持っていたのですか」

この質問に、男は再び黙り込みました。しかし、私たちには既に確信がありました。防水ケースに入れていたということは、撮影目的である可能性が極めて高い。

「正直に話した方がいい。スマートフォンは解析します。削除したデータも復元できます。嘘をついても意味がないんです」

「…撮影するつもりでした」

「実際に撮影しましたか」

「…はい」

これが盗撮の自白でした。

第三章:デジタルフォレンジクスの実施

# スマートフォンの押収と解析準備

自白を得た段階で、スマートフォンの正式な押収令状を裁判所に請求しました。現行犯逮捕時に確保したスマートフォンですが、中身を詳しく調べるには令状が必要です。

裁判所は翌日、令状を発付。私たちは兵庫県警のサイバー犯罪対策課と連携し、本格的な解析を開始しました。

現代の性犯罪捜査において、デジタルフォレンジクス(デジタル証拠の科学的解析)は不可欠です。犯人がどれだけ証拠を消そうとしても、デジタルデータは痕跡を残します。

# 解析の実際

サイバー犯罪対策課の専門技官が解析を担当しました。

使用したのは業務用のフォレンジクスツール。これは削除されたデータ、通信履歴、位置情報、すべてを復元・解析できる強力なソフトウェアです。

スマートフォンはiPhone。犯人は比較的新しいモデルを使用していました。パスコードロックがかかっていましたが、専用ツールで解除。中身の解析が始まりました。

# 衝撃的な発見

解析開始から3時間後、技官から報告を受けました。

「刑事さん、これは…相当悪質です」

画面を見て、私は言葉を失いました。

スマートフォンには、今回の事件で撮影された動画が保存されていました。しかし、それだけではありませんでした。

**発見されたデータ:**

– 今回の女湯侵入時の動画:3本(合計約2分)
– 削除されていた過去の盗撮動画:127本
– 盗撮画像:312枚
– 盗撮関連のメモ:45件

特に深刻だったのは、削除されていたデータの内容でした。

# 余罪の発覚

127本の動画を時系列で並べると、犯行の全貌が明らかになりました。

最も古い動画は3年前のもの。場所は別の温泉施設でした。そこから現在まで、犯人は継続的に盗撮を繰り返していたのです。

**判明した余罪:**

– 温泉施設での盗撮:18件(兵庫県内12件、大阪府4件、京都府2件)
– 公衆トイレでの盗撮:34件
– 駅や商業施設での盗撮:41件
– その他:34件

合計127件。被害者は少なくとも200名以上と推定されました。

メモファイルには、各施設の「攻略法」が記されていました。

「○○温泉、第2日曜は混雑、狙い目は平日15時以降」
「□□駅トイレ、3番個室の上部に隙間あり」
「△△ショッピングモール、エスカレーター撮影、警備巡回30分間隔」

計画的、常習的な犯行であることは明白でした。

# 位置情報の解析

スマートフォンの位置情報履歴も重要な証拠となりました。

iPhone の場合、「重要な位置情報」という機能で、ユーザーの行動パターンが記録されています。犯人はこの機能をオフにしていませんでした。

位置情報を地図上にプロットすると、犯人の犯行パターンが視覚化されました。

– 平日:主に通勤経路上の駅やトイレで盗撮
– 週末:温泉施設を中心に広範囲で犯行
– 月1〜2回:遠方の温泉施設への「遠征」

犯行場所は兵庫県内だけでなく、大阪、京都、奈良、和歌山にも及んでいました。

# クラウドストレージの調査

さらに調査を進めると、犯人がクラウドストレージサービスを使用していたことが判明しました。

スマートフォン内のデータは定期的に削除していましたが、クラウド上にはバックアップが残っていたのです。

令状を取得し、サービス提供会社に照会。膨大なデータが保存されていました。

犯人は「証拠隠滅」のつもりでスマートフォンから削除していたようですが、クラウドの自動バックアップ機能により、すべてが記録されていたのです。

第四章:余罪の捜査

# 被害施設の特定

デジタル証拠から、犯行が行われた施設を特定する作業を開始しました。

動画や画像に映り込んでいる特徴(タイルの色、設備の形状、壁の装飾など)から、施設を絞り込みます。また、位置情報データと照合することで、かなりの精度で場所を特定できました。

特定できた施設は全部で47箇所。そのうち温泉施設が18箇所でした。

# 各施設への聴取

私たち捜査班は、特定した施設を一つ一つ訪問し、管理者から事情を聞きました。

「過去3年間で、女湯への不審な侵入や盗撮に関する通報、苦情はありましたか」

多くの施設で、「そういえば」という証言が得られました。

ある施設の支配人:
「2年前、女性客から『脱衣所で不審な男を見た』という報告がありました。従業員が確認に行った時には既に姿がなく、防犯カメラを確認しましたが決定的な証拠が得られず…警察への通報は見送りました」

別の施設のマネージャー:
「1年前、女湯の脱衣所で小型カメラのようなものが発見されたことがあります。しかし、誰が設置したか特定できず、器物として保管していました」

これらの事案も、犯人の犯行である可能性が高いと判断しました。

# 被害者の特定

最も困難だったのが、被害者の特定です。

温泉施設の多くは、個人情報管理の観点から、入浴者の記録を詳細に保存していません。防犯カメラの映像も、プライバシー保護のため一定期間で消去されます。

それでも、いくつかの施設では会員制度や予約記録から、該当日時に入浴していた可能性のある女性をリストアップできました。

また、動画に明瞭に顔が映っている被害者については、公開捜査も視野に入れました。ただし、二次被害を防ぐため、慎重な配慮が必要です。

最終的に、身元が特定できた被害者は38名。全員に連絡を取り、事情を説明しました。

この連絡は、捜査の中で最も辛い仕事の一つです。

「○年○月○日、○○温泉にいらっしゃいましたか?実は、盗撮被害に遭われた可能性があります…」

電話口で泣き崩れる被害者もいました。怒りをあらわにする方もいました。「思い出したくない」と電話を切られたこともありました。

すべて当然の反応です。何の落ち度もない人が、見知らぬ犯罪者によって尊厳を踏みにじられたのです。

第五章:取り調べの深化

# 余罪の追及

デジタル証拠と施設調査の結果を踏まえ、犯人への取り調べを再開しました。

「あなたのスマートフォンから、127本の盗撮動画が見つかりました。3年間、継続的に犯行を重ねていましたね」

証拠を提示すると、犯人は観念したようでした。

「すべて認めます…」

「なぜ、こんなことを続けたのですか」

「最初は…本当に出来心だったんです。3年前、仕事で失敗して落ち込んでいた時、ふと魔が差して…」

「最初の犯行は覚えていますか」

「はい…大阪の○○温泉でした。女湯の脱衣所に、清掃業者を装って入りました。誰にも気づかれず、撮影もできて…それで味をしめてしまったんです」

# 犯行の動機とエスカレーション

犯人の供述から、犯行の動機と経緯が明らかになりました。

最初は単なる「興味本位」だったと犯人は言います。しかし、一度成功すると、その刺激が忘れられなくなった。次第に犯行の頻度が増え、手口も大胆になっていきました。

「最初は怖かったです。でも、何度やっても捕まらなくて…段々、自分は上手くやれている、バレないと思い込むようになりました」

これは多くの常習性犯罪者に共通するパターンです。成功体験の積み重ねが、罪悪感を麻痺させ、エスカレートさせる。

「メモに『攻略法』を記録していましたね。これは計画的な犯行です」

「はい…温泉施設はそれぞれ警備体制が違うので、下見をしてから実行していました。成功した方法は記録して、次回の参考にしました」

# 撮影データの使用目的

「撮影した動画や画像は、どう使っていたのですか」

「自分で見るだけです」

「インターネット上にアップロードしたり、他人に販売したりは?」

「それはしていません」

この点については、デジタル解析でも裏付けが取れました。通信履歴を調べた限り、データを外部に送信した形跡はありませんでした。

ただし、クラウドストレージに保存していたということは、潜在的な流出リスクがあったということです。もしアカウントが乗っ取られたり、本人が気を変えて公開したりすれば、被害は計り知れないものになっていたでしょう。

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# 犯人のプロフィール

取り調べを通じて明らかになった犯人のプロフィール:

– 年齢:37歳
– 職業:IT企業のシステムエンジニア
– 居住地:神戸市内のマンション(単身)
– 家族構成:独身、両親は他県在住
– 前科前歴:なし

一見、普通の社会人でした。職場での評価も悪くなく、人間関係のトラブルもなかった。近隣住民からも「普通の人」という証言しか得られませんでした。

しかし、その裏で3年間、100件以上の性犯罪を重ねていたのです。

第六章:立件と送検

# 罪名の確定

本事件で犯人に適用される罪名を整理しました。

**1. 建造物侵入罪**
刑法第130条、正当な理由なく人の住居等に侵入した罪。今回の温泉施設への侵入が該当。法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金。

**2. 迷惑防止条例違反(盗撮)**
兵庫県迷惑行為防止条例、公衆浴場等での盗撮行為。常習の場合、法定刑は2年以下の懲役または100万円以下の罰金。

**3. 軽犯罪法違反**
一部の事案で適用。

これらの罪を、確実に立証できる事案について立件することにしました。

# 立件事案の選定

127件すべてを立件することも可能でしたが、捜査リソースと裁判の効率を考え、主要な事案を選定しました。

**立件した事案:**
– 今回の神戸市内温泉施設での建造物侵入・盗撮:1件
– 過去の余罪から証拠が明確な盗撮事案:23件
– 合計24件

選定基準は以下の通りです:
– 被害者が特定できている
– デジタル証拠(動画・画像)が明確
– 施設の特定ができている
– 時効(3年)が成立していない

# 検察への送致

逮捕から20日後、事件を神戸地方検察庁に送致しました。

送致書類は膨大な量になりました:
– 被疑者の供述調書:15通
– 被害者の供述調書:38通
– 目撃者の供述調書:12通
– 実況見分調書:24通
– デジタルフォレンジクス報告書:1式(約300ページ)
– 証拠品目録:1式
– その他関係書類:多数

検察官は書類を精査し、追加捜査を指示。さらに2週間の捜査を経て、正式な起訴が決定しました。

# 起訴内容

検察は以下の内容で起訴しました:

**起訴罪名:**
– 建造物侵入罪:1件
– 迷惑防止条例違反(盗撮):23件(常習累犯)

**求刑予定:**
懲役3年(実刑)

常習性、計画性、被害者の多さ、反省の程度などを総合的に考慮し、実刑が相当と判断されました。

第七章:公判と判決

# 初公判

起訴から3ヶ月後、神戸地方裁判所で初公判が開かれました。

被告人(元犯人)は紺色のスーツを着て出廷。弁護人が1名付いていました。

裁判長から起訴内容の確認があり、被告人は「間違いありません」と認めました。完全な自白事件です。

# 検察側の主張

検察官は冒頭陳述で、犯行の悪質性を強調しました。

「被告人は3年間にわたり、計画的かつ常習的に盗撮行為を繰り返しました。被害者は200名以上に及び、その中には未成年者も含まれています」

「被告人は各施設の警備体制を研究し、『攻略法』なるメモまで作成していました。これは決して『出来心』などではなく、確信犯的な犯行です」

「被害者の方々は、今も心の傷に苦しんでいます。ある被害者は『もう温泉に行けない』と訴え、別の被害者は『自分の姿が撮影され、どこかに流出しているのではないか』という恐怖に怯えています」

「このような悪質な犯行に対しては、厳正な処罰が必要です。懲役3年の実刑を求刑します」

# 弁護側の主張

弁護人は情状酌量を求めました。

「被告人は深く反省しています。既に職を失い、社会的制裁も受けています」

「撮影したデータは外部に流出しておらず、被害の拡大は防がれています」

「初犯であり、更生の可能性があります。執行猶予付き判決をお願いします」

# 被害者の意見陳述

公判では、被害者の一人が意見陳述を行いました。

30代の女性でした。勇気を振り絞って法廷に立ち、震える声で語りました。

「あの日、私は母と一緒に温泉に来ていました。楽しい時間を過ごしていたはずなのに、それが一瞬で悪夢に変わりました」

「警察から連絡を受けた時、信じられませんでした。自分の裸が撮影され、犯人のスマートフォンに保存されていたなんて…」

「今も、公共の場で誰かに見られているような気がします。温泉だけでなく、公衆トイレも怖くて使えません」

「被告人には、自分がどれだけ多くの人の人生を壊したのか、しっかり理解してほしい。そして、二度とこんなことをしないでほしい」

法廷は静まり返っていました。被告人は俯いたまま、涙を流していました。

# 判決

公判から2週間後、判決が言い渡されました。

**主文:**
「被告人を懲役2年6月に処する。ただし、この判決確定の日から4年間、その刑の執行を猶予する」

**判決理由:**

裁判長は以下のように述べました。

「被告人の犯行は、計画的かつ常習的であり、被害者も多数に及ぶ悪質なものである」

「しかし、被告人に前科前歴がないこと、犯行を全面的に認めて反省していること、データを外部に流出させていないこと、被害者への賠償の意思を示していることなどを考慮し、今回に限り執行猶予を付すこととする」

「ただし、被告人は今回の猶予期間を『最後のチャンス』と認識すべきである。再び同様の犯行に及べば、今回の刑も含めて厳しく処罰されることを肝に銘じなさい」

執行猶予付きの判決でしたが、前科が付いたことに変わりはありません。

第八章:事件後の対応

# 被害者への説明

判決後、私たちは被害者の方々に結果を報告しました。

「執行猶予なんて…」と納得できない被害者もいました。その気持ちは理解できます。

しかし、これが現在の司法制度の限界でもあります。初犯で全面自白、反省の態度を示している場合、執行猶予が付くことは珍しくありません。

それでも、前科が付いたことで、犯人の人生には大きな制約が生じます。再就職は極めて難しく、社会的信用も失われました。

# 再犯防止措置

判決では、再犯防止のための条件も付されました:

– 保護観察:4年間
– 性犯罪再犯防止プログラムの受講
– 定期的な保護司との面談
– 心理カウンセリングの受診

これらの措置により、再犯リスクを低減させる狙いです。

# 施設への情報提供

事件に関係した温泉施設には、再発防止のための情報提供を行いました。

– 防犯カメラの増設
– 従業員の巡回強化
– 不審者発見時の対応マニュアル整備
– 警察との連携体制構築

多くの施設が、事件を機に防犯対策を強化しました。

第九章:警察からの警告メッセージ

# 「必ず捕まる」という現実

この事件を通じて、私が強く伝えたいのは「性犯罪は必ず発覚する」という事実です。

現代の捜査技術において、犯罪者が証拠を完全に隠滅することは不可能です。

**デジタル証拠は消せない:**
– スマートフォンのデータは削除しても復元できる
– クラウドに自動バックアップされている
– 通信履歴、位置情報もすべて記録されている

**防犯カメラは見ている:**
– 日本国内の主要施設には防犯カメラが設置されている
– AI技術により、不審な行動は自動検知される
– 映像は長期保存されている

**目撃者は必ずいる:**
– どんなに人目を避けても、誰かが見ている
– 些細な違和感でも、通報されれば捜査が始まる

# 犯罪の代償

性犯罪を犯した場合の代償は、想像以上に大きいものです。

**法的制裁:**
– 逮捕・勾留:20日以上の身体拘束
– 前科:一生消えない記録
– 実刑の可能性:刑務所での服役
– 罰金:最大で数百万円

**社会的制裁:**
– 解雇:ほぼ確実に職を失う
– 再就職困難:前科により雇用されない
– 家族関係の崩壊:離婚、絶縁など
– 社会的信用の喪失:地域からの排斥

**経済的損失:**
– 弁護士費用:数十万円〜数百万円
– 賠償金:被害者への慰謝料
– 収入の喪失:失職による経済的困窮

今回の犯人も、すべてを失いました。安定した職、社会的地位、家族との関係、そして何より自分自身の尊厳を。

# 被害者の苦しみ

そして最も重要なのは、被害者の苦しみです。

性犯罪の被害者は、長期にわたって心の傷を抱えます。

– PTSD(心的外傷後ストレス障害)
– 対人恐怖症
– うつ病
– 日常生活への支障

今回の事件でも、複数の被害者が心療内科を受診されています。

「加害者は刑期を終えれば『償った』ことになるかもしれない。でも、被害者の苦しみに終わりはない」

ある被害者の言葉が、今も耳に残っています。

# 「出来心」は通用しない

多くの性犯罪者が「出来心だった」と弁解します。しかし、それは言い訳になりません。

犯罪は犯罪です。動機がどうあれ、被害者を傷つけた事実は変わりません。

そして、「出来心」で起こせるほど、性犯罪の実行は容易ではありません。今回の事件でも、犯人は:
– 施設を下見し
– 警備体制を研究し
– 防水カメラを用意し
– タイミングを見計らい
– 実行に移した

これは計画的犯行です。

# 相談窓口の存在

もし、性的な衝動をコントロールできず悩んでいる人がいるなら、犯罪を犯す前に相談してください。

**相談窓口:**
– 精神科・心療内科
– 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
– よりそいホットライン(0120-279-338)
– 各都道府県の警察相談窓口(#9110)

治療やカウンセリングで改善する可能性があります。犯罪を犯してからでは遅いのです。

第十章:今後の課題と展望

# 性犯罪捜査の進化

性犯罪捜査の技術は日々進化しています。

**AI技術の活用:**
現在、防犯カメラの映像をAIが分析し、不審な行動を自動検知するシステムが開発されています。これにより、犯行の早期発見が可能になります。

**DNA データベース:**
性犯罪者のDNAデータベースが整備されつつあります。再犯の防止と、未解決事件の解決に役立ちます。

**国際連携:**
デジタル犯罪は国境を越えます。国際的な捜査協力体制の強化が進んでいます。

# 予防教育の重要性

性犯罪を防ぐには、捜査だけでなく予防教育も重要です。

– 学校教育における性教育の充実
– 企業でのハラスメント研修
– 保護者への啓発活動

「性犯罪は絶対に許されない」という意識を社会全体で共有する必要があります。

# 被害者支援の充実

被害者への支援体制も、さらに充実させる必要があります。

– 専門カウンセラーの増員
– 医療費の公費負担
– 法的支援の拡充
– プライバシー保護の徹底

被害者が安心して相談でき、適切な支援を受けられる社会を目指さなければなりません。

おわりに:警察官からのメッセージ

22年間、警察官として性犯罪と向き合ってきました。

その中で何百人もの被害者と出会い、何百人もの加害者を逮捕してきました。

いつも感じるのは、「この犯罪は防げたはずだ」ということです。

加害者の多くは、「バレないと思った」「このくらいなら大丈夫だと思った」と言います。しかし、それは大きな間違いです。

**性犯罪は必ず発覚します。**
**犯罪者は必ず捕まります。**
**失うものは、想像以上に大きい。**

そして何より、

**被害者の苦しみは、取り返しがつかない。**

この記事を読んで、少しでも「やってみようかな」と考えていた人がいるなら、思いとどまってください。

性犯罪を犯した瞬間、あなたの人生は終わります。そして、被害者の人生も大きく傷つけることになります。

もし、性的な衝動をコントロールできず悩んでいるなら、専門家に相談してください。治療で改善する可能性があります。

犯罪を犯す前に、立ち止まってください。

**あなたの人生を守るために。**
**そして、無辜の人々を傷つけないために。**

私たち警察は、性犯罪の撲滅に全力を尽くします。そのためには、捜査技術の向上だけでなく、社会全体の意識改革が必要です。

この記事が、性犯罪抑止の一助となることを願っています。

—

兵庫県警刑事部捜査第一課
性犯罪捜査班 刑事

(この記事は実際の事件を基にしていますが、プライバシー保護のため一部内容を改変しています)

**緊急相談窓口**
– 警察相談専用電話:#9110
– 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター:#8891
– よりそいホットライン:0120-279-338

性犯罪は、被害者・加害者双方の人生を破壊します。
悩んでいる方は、犯罪を犯す前に、必ず相談してください。

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