土曜日の午後11時22分、ダイニングの照明を落とした状態でソファに座っていた。夫の帰りを待っているわけじゃない。待つのをやめた夜だった。
「接待で遅くなる」と送られてきたLINEのスタンプはウサギが手を振っているやつで、以前だったらそのスタンプにすら笑顔で返信していた。でも11月の初旬にロック画面が家族写真から真っ黒に変わった日から、私は夫の言葉を一つひとつ検証するようになっていた。
— 家庭内 隠しカメラとは、居住空間に小型カメラや録音機器を設置し、同居人・訪問者の言動・行動を記録する行為の総称。家族間の真実確認・証拠保全を目的として自宅の共有スペースに設置する場合、現行日本法では違法と断定しにくい(詳細は後述)。
目次
土曜日の通知音
10月のある土曜の夜11時すぎ、夫のスマホが3回振動した。
いつもなら仕事関係の通知は22時には止まる。夫もそう言っていた。なのにその夜は23時を回っても画面が点いた。私がキッチンで洗い物をしながら様子をうかがうと、夫はスマホを画面を伏せてローテーブルに置き、「疲れたから先に寝る」と言って寝室に消えた。
変だと思った。でもその夜は確認できなかった。
翌月、LINEのロック画面が変わった。前は4歳の娘と6歳の息子が並んだ写真だったのに、ある日突然、真っ黒になった。「機種変したから設定が消えた」と説明されたが、その2週間後に私のiPhoneの壁紙はそのままだった。
決定打は「接待ゴルフ」だった。
11月の第2土曜と第3土曜、夫は「お客様とゴルフ」と言って朝6時に出た。不審に思って調べたら、どちらのコースもその日のキャディ予約ページに空きが出ていた。つまりセルフプレーの日だ。なのに夫は夕食のたびに「キャディさんに教えてもらった話」を得意げに披露していた。
確信した。
「証拠がないと動けない」の壁
最初にしたことは弁護士への相談だった。横浜市内の法律事務所で初回30分6,600円。「不貞行為の証明には、二人でいる写真・ホテルの領収書・LINE履歴などの物的証拠が必要です。状況証拠だけでは離婚訴訟で優位に立てない」とはっきり言われた。
夫のスマホは当然ロックされている。外で会っている証拠はない。私が持っているのは「気になる状況」だけだった。自分で動くしかないと思ったのはその夜だ。
設置前に確認した法律のこと
動く前に法的リスクを調べた。
令和5年(2023年)施行の「性的姿態等撮影罪(不同意撮影罪)」は、他人のプライベートな部位を無断で撮影する行為を罰する法律だ。ただしこの法律の対象は性的な部位や下着への向けた撮影が主であり、日常動作を自宅内で記録することは適用外とされている。弁護士の追加見解でも「自宅の共有スペース(リビング・廊下・玄関など)に防犯・証拠目的で設置するカメラは、現状の日本法では違法と断言できない」との確認が取れた。
ただし寝室・浴室・トイレへの設置は論外。リビング・玄関・書斎の共有エリアのみに絞った。
ダイニングテーブルの隅に置いたもの
最初に購入したのはティッシュ箱型カモフラージュカメラ CK-017B(¥19,800)だった。
ダイニングテーブルの端にティッシュ箱が置いてあることは不自然じゃない。夫も子供たちも気にしない。1080P画質・動体検知・WiFi接続で、スマホからリアルタイム確認できる。初期設定は30分で終わった。
設置翌日の夜、確認した録画に驚いた。帰宅した夫がリビングで誰かに電話をかけているシーンが3分20秒分記録されていた。会話の内容は聞き取れなかったが、電話が終わった直後に夫は着信履歴を削除する操作をした。その動作が鮮明に映っていた。
「消した」という事実が記録に残る。それだけでも十分だと思った。
玄関に観葉植物が増えた理由
次は玄関だった。帰宅時の様子と、万が一の来訪者を記録したかった。玄関に見た目がカメラとわかる機器を置くのは意味がない。そこで選んだのが観葉植物型カモフラージュカメラ CK-016B(¥24,800)だ。
ポトスに似た造花の鉢植えに見えて、正面に1080Pレンズが内蔵されている。玄関横のシューズボックスの上に置いたら、宅配業者が来ても誰も気にしなかった。リモート視聴機能で、私が外出先からでもスマホで玄関の状況をリアルタイム確認できた。
ある平日の夜、帰宅した夫が上着を脱ぐ前に玄関で4分間スマホを操作していた記録が残った。玄関で何を打っていたのかはわからない。でも記録されたという事実は残った。
書斎のコンセントに差したもの
夫は週2日ほど書斎で仕事をする。以前はドアを開けたままだったのに、いつからかドアを閉めるようになっていた。
書斎の壁際のコンセントにスパイダーズX コンセント型・電源タップ型カメラ(¥29,800)を差した。電源タップに偽装しているため電池切れがなく、24時間連続録画が可能だ。コンセントに差すだけで動作し、WiFi経由でスマホへ転送される。私が就寝後に夫が書斎にこもっても、翌朝すべて確認できた。
設置から10日目に、私はあるシーンを確認した。夫が書斎のデスクでスマホとPCを交互に操作しながら、声を落として話していた15分間の映像だった。内容の特定は難しかったが、その映像を弁護士に持参した際、「行動パターンとして記録する価値がある」と言われた。
最終的に証拠として機能したもの
ここで書いてきたすべてを踏まえた上で断言する。証拠品質を最終的に担保したのはスパイダーズX PRO 4K UT-124W Angel Eye(¥49,800)だった。
Angel Eyeは180度広角レンズを搭載した基板完成型の実用ユニットで、既製品のフレームに組み込んで使える。私は書斎の壁掛け時計に組み込む形で設置した。4K画質はスマホの画面に表示された文字まで読み取れるレベルの鮮明さがある。暗所補正が強く、書斎の照明を落とした状態でも映像が白飛びしなかった。
長時間駆動との組み合わせで、1ヶ月以上記録し続けても容量管理のストレスがなかった。この映像が後の調停で直接役に立った。弁護士は「ここまで鮮明な記録は珍しい」と言っていた。
¥49,800という価格は、慰謝料交渉の結果次第で十分に回収できる投資だ。
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ここが判断の分かれ目です——今の状況を整理する
家庭内への隠しカメラ設置を検討している人の多くは「気のせいかもしれない」「大げさかもしれない」という迷いを抱えている。でも証拠が必要になってから動いても、すでに相手側は痕跡を消している。動くなら「確信が持てないうち」が正しいタイミングだ。
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設置に踏み切る前に確認したかったこと
設置場所はどこが適切か?
リビング・玄関・廊下・書斎など家族が共有するスペースが対象になる。寝室・浴室・トイレへの設置は論外で、仮に証拠が取れても法的に使えない可能性が高い。共有スペースに限定することが、後で証拠として使えるかどうかの分かれ目になる。
電池式と電源接続式、どちらが家庭内向きか?
リビング・書斎・玄関など電源がある場所ならコンセント型一択。電池切れによる録画欠落がなく、24時間連続録画が可能。電源のない場所(押し入れ近辺など)では長時間バッテリー内蔵型を使う。ティッシュ箱型・観葉植物型はいずれもバッテリー内蔵と電源接続の両対応機種を選ぶと安心だ。
録画した映像は離婚の証拠として使えるか?
家庭裁判所の調停・審判では映像証拠の提出が認められるケースがある。ただし「不貞行為そのもの」を映した映像でなければ、補助証拠としての扱いになることが多い。ホテルへの出入りや相手との接触記録と組み合わせることで証拠力が増す。開示の仕方は必ず弁護士と相談してから決めること。
夫にカメラを見つかったらどうなるか?
自宅の共有空間への設置は現行法で違法と断定しにくい。夫がカメラを破壊した場合は器物損壊罪が成立する可能性がある。発見を防ぐための偽装型カメラの存在意義はここにある。見つかった瞬間に相手が「証拠隠滅」の行動を取った場合、それ自体が後々の判断材料になる。
何日分の映像を保存できるか?
機種・解像度・動体検知設定によって異なるが、動体検知モードで32GBのmicroSDを使用した場合、1080P画質で約2〜3週間分の記録が可能。4Kの場合は容量消費が大きいため、動体検知をオンにして無駄な録画を削減することが重要。定期的にSDカードをバックアップする習慣をつけること。
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動けない夜に動く選択
3ヶ月間「気のせいかもしれない」と思い続けた。でも弁護士に「証拠がない」と言われたとき、感情では何も動かせないと理解した。状況証拠を物的証拠に変えるのは機材だ。
今の状況が私と似ているなら、まず¥19,800のティッシュ箱型から始めてほしい。 ダイニングに置いても誰も疑わない。動体検知で無駄な録画をしない。スマホで外出先から確認できる。最初の一歩として扱いやすい。
玄関や書斎まで記録範囲を広げるなら観葉植物型とコンセント型を追加する。証拠品質を最優先にするなら、最終的には4K Angel Eyeに行き着く。49,800円は、この状況が本当に「確信」に変わったとき、払えない額じゃない。
確認したいことがある。その気持ちは「気のせい」じゃない。
※撮影は関連法令を遵守の上、ご利用ください。登場人物・団体は全て架空です。


